旅が教えてくれるもの

ごきげんいかがですか。カウンセラーの前田です。私はいろいろなところに出かけるのが好きです。何かしらの気づきがあるからです。
9年前の夏、北山村の「筏くだり」に行きました。北山村にある北山川は和歌山県、三重県、奈良県の三県にまたがる川です。筏師が造る筏で人力だけで下ります。昔は丸太の運搬手段だったそうで今は観光筏下りとして伝統を受け継いでいます。
写真を見ると、オレンジ色のライフジャケットを着た人たちが、激しい水しぶきの中を筏で下っています。そして、その一番後ろにいるのが私です。
北山川の流れは想像以上に激しく、筏は大きく揺れ、水しぶきが容赦なく飛んできます。怖いような、楽しいような、笑っているのか叫んでいるのかわからないような時間でした。
でも、不思議なことに、一番後ろにいることがとても心地よかったのです。前の人たちの様子を見ながら、川の流れを感じ、時には後ろを振り返りながら進んでいく。「私は、前で先頭を切るより、後ろから様子を見ながら進むほうが好きなんだ」そう感じました。
そして今思えば、少し大げさかもしれませんが、この筏くだりは私の人生観を変えたのかもしれません。
人生も、いつも穏やかな流れではありません。思いがけない急流に出会うこともあります。すべてを自分でコントロールすることはできません。だったら、流れに逆らいすぎなくてもいい。
前を見て、周りを見て、時には後ろも見ながら、その時その時で進んでいけばいい。
「後ろから様子を見ながら、突き進むんだ」そんな感覚が、私の中に残りました。
それから9年。今年の夏、私はもう一度、北山の筏くだりに行きました。
今回は一番後ろではありませんでした。それなのに、筏が動き始めると、私は前だけではなく、横を見たり、後ろを振り返ったり、周りを見回していました。
「ああ、私ってやっぱりこうなんだな」と、少し可笑しくなりました。
前だけを見て進むのではなく、周りの様子を見ながら、自分が今どこにいるのかを確かめる。そして、流れが激しくなったら、その流れも受け入れて進んでいく。
9年前は「一番後ろが心地いい」と思いました。今年は、一番後ろではなかったけれど、前も後ろも、右も左も見ながら、約70分の筏くだりをじっくり味わいました。
9年前の私は、筏の一番後ろから人生を見ていたのかもしれません。
そして今の私は、少し離れたところから自分自身や周りを眺めながら、それでもちゃんと前へ進んでいる。
人生には、激しい流れもあれば、穏やかな流れもあります。
どんな流れに出会っても、怖がりすぎず、周りを見ながら、自分のペースで進んでいけばいい。
前も見ます。後ろも見ます。周りもしっかり見ます。
そして、これからも流れる人生(日常)を、できるだけ味わいながら楽しんでいきたいと思います。
そんなことを、二度目の北山の筏くだりが感じさせてくれました。
旅は楽しさと一緒に気づきを与えてくれます。また旅の話を聞いてください。
この記事を書いたカウンセラー
前田カウンセラー
